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2025.12.19
レポート

世界と日本のデザインシミュレーター事情【海外編】 -具体的な9サービスの便利な特徴をレポート

組み込み型のものづくりサービス〈Printio〉は、ただいまWeb版のPrintioを絶賛開発中。すでにβ版としてお使いいただけるほか、夏にはカート連携も予定しています。本ブログでは、自社のデザインシミュレーター開発時にリサーチした「他のPOD(=プリントオンデマンド)サービス」や「メーカー」のシミュレーターの面白さと奥深さを公開するものです。それぞれのサービスの特徴と共にデザインシミュレーターのオススメポイントを、国内外の9サービスをそれぞれレポートします

少し長くなってしまったので、こちらでは【海外編】として、スウェーデン・アメリカ・ドイツから4つのサービスのシミュレーターをご紹介します

国内編の5つのサービスはこちら

デザインシミュレーターって何ですか?

デザインシミュレーターとは、Webサイトやアプリ上で、Tシャツやスマホケース、ポスターなどのオリジナル商品を作るときに、実際にどのような見た目になるかをその場で確認・編集できる仕組みのことです。文字を入れたり、画像を配置したり、色を変えたりすることで、自分のアイデアをそのまま形にできます。

昔は、Adobe Illustrator(アドビイラストレーター)・Adobe Photoshop(アドビフォトショップ)などの専用ツールが必須でしたが、最近はAdobe Express(アドビエクスプレス)やCanva(キャンバ)などの「デザインツール」自体のサービスも増えてきています。ですが、デジタル入稿(Webから頼める印刷会社)やPODサービスでは、昔からずっと独自のデザインシミュレーターを開発しており、その便利さと印刷の正確性を並行して、競うように日々アップデートしているのです。

海外のシミュレーターが重視する「体験の演出」

スウェーデンのステッカー印刷会社 StickerApp(ステッカーアップ)

StickerAppは、ステッカー印刷に特化したシール印刷の会社です。フレークシールと言われる袋にいくつかのステッカーが入ったものが作れるほか、多様な紙や加工を用いたシールづくりが安価にできるのが特徴です。

StickerApp公式サイトTOPページより引用

特に、面白いのが、自由なカットラインが指定できるステッカー制作ツールの部分。自動でデザインを認識し、縁取りをつくってくれます。しかもリアルタイムで、仕上がりの形状まで事前に確認可能です。

左が細フチ、右が太フチを選択したときのスクリーンショット

しかも、印刷台紙も同じ画面の別のタブより並行して確認できます。「ホログラム」「グリッター」のようなキラキラ系の他にも、「クラフトペーパー」「透明シール(Transparent)」というシンプルなもの、「アルミ台紙」「ミラー台紙」のようなメタリックな台紙の選択肢を選ぶことが可能です。しかも、ワンクリックでデザインシミュレーター内のイメージも変化していきます。お見事!

左がホログラム加工、右がグリッター加工のときのスクリーンショット

イラストやデザインを持っているユーザーが気軽にデータをアップロードできて、「きれいに切り抜きたい・くり抜きたい」「デザインに合わせた台紙を見比べながら選びたい」そんなニーズに応える素敵なデザインシミュレーターですね。

アメリカのPOD会社 Scalable Press(スケーラブルプレス)

Scalable Pressは、一般向けのビジュアルエディタはなく、APIベースでカートや商品を連携できるPODプラットフォーム。エンジニアやEC事業者向けに設計された高度な業務ツール型です。だからこそ、デザイナーやブランドオーナーのかゆいところに届くニッチなシミュレーターを持っていて、とてもユニークです。

Scalable Press公式サイトTOPページより引用

デザイナーの方なら詳しいかもしれませんが、印刷色には「PANTONE色番号」という色見本の会社の出している世界共通の”色”というものが実はあります。そのインキ色の指定がしやすいのがこちらのScalable Pressです。

色指定ができるような設計にしているというのは、つまり、デジタルプリント(=デジタル制御した点描みたいな印刷を行う方法)ではなく「色版(=色ごとに印刷する部分を分けて、色単位で印刷を重ねられるようにするもの)」をつくりながら印刷する「シルクスクリーン印刷」などを得意としているということなんです。

これらの印刷手法の違いがどんな風に表れるのかはまた別の解説記事でお伝えさせてください

ちょっと脱線!印刷ミニ知識

Scalable Pressでは、適当な画像をアップロードすると、自動で色分解してくれ、「これはこの深い赤ですか?それともこの朱色ですか?」といった感じで、PANTONEの色番号とマッチさせる形で確認してくれます。しかも自分で細かく色番号を再設定することもできます。なんと便利な……!

しかも、気になる細部の表現に関しても、拡大してフチのギザギザがどうなっているかまで、細かく確認できるのです。

一見一色の赤色に見えるデータをアップロードしても、3色くらいに丁寧に分解して確認してくれ、そのうえでフチの状態も丁寧に確認してくれます。これはフチの確認の時のスクリーンショットの抜粋

本格的な販売がしたく、APIでつなげることのできるプロのEC事業者により専門的なアイテムが作れるような「初心者には複雑すぎるけれど、その分玄人にはありがたいデザインシミュレーター」ですね。

ドイツのPOD会社 Spreadshirt(スプレッドシャツ)

Spreadshirtは、アパレルが豊富な、ユーザーが自身のデザインを商品化・販売できるマーケットプレイス(=同じサービスでデザインをつくった様々な人の商品を販売しているモールのようなECサイト)を提供しているサービスです。デザインシミュレーターでは、刺繍の対応をしているほか、画像にフィルターをかけたり、文字をカーブ状に配置したりといった加工が可能で、見た目の調整に特化したツール構成が特徴です。

Spreadshirt公式サイトTOPページより引用

画像加工が特にナチュラルで、触り心地抜群。ワンクリックでいろいろな形に写真を切り抜いてくれるので、イラストだけでなく、写真を使ったデザインもしやすいデザインシミュレーターです。

元は正方形の画像を一瞬でおしゃれな形に変形しているときのスクリーンショット
元はカラフルな画像を一瞬でおしゃれなモノクロ色にフィルターをかけているときのスクリーンショット

選べるデザイン素材も豊富で、ワンポイントを加えたいときには外部のCanvaのようなデザインツールなどを利用しなくても、サービス内のデザインシミュレーターだけで完結できるような一気通貫した触り心地。デザイン初心者でもツールがあれば素敵なものをだれでも作れるだろうという、クリエイターを後押しする姿勢を感じられるデザインシミュレーターです(だからこそ、マーケットプレイスの運営もしていて、つくったデザインをすぐに販売できる場所を用意しているのでしょうね、素敵な導線設計です)。

アメリカのフォトアルバムの会社 Shutterfly(シャッターフライ)

Shutterflyは、フォトアルバムの印刷に特化しているものの、同時に写真を使ってほかのアイテムもつくれるサービスです。特にフォトブックのデザイン展開が多く、さらに、詳細はデザイナーにお任せできるという、初心者や素人にピッタリのサービスでもあります。

Shutterfly公式サイトTOPページより引用

かなり、直感的に操作ができることに加え、見本のフォトブックがどれもおしゃれで気が利いているのも特徴です。

フォトブック作成時のフローのスクリーンショット。自分の写真がアップロードされるときに表示されるくり抜きはリアルタイムで変化していて、見ていてかわいく、アップロードの待ち時間も飽きさせない工夫が施されているのが分かる

しかも、最終調整は、なんと好みを伝えてデザイナーに仕上げてもらえます!誕生日、卒業、家族旅行などのフォトブックの用途や写真加工(明るめにする)などの好みや有無、写真のサイズと配置密度や、装飾をどうするか、そしてもちろん特記事項を自由に記載する欄もあります。

自分の好みを伝えるためのページのスクリーンショット。特記事項には、見開きの最初に集合写真を配置してほしいなどを入れることができる

スマートフォンの進化と普及で写真が身近になってきているからこそ、撮った写真をアルバムにしたい人も増えているはず。写真は日々の鍛錬で撮れるようになったとしても、写真を書籍にする(=フォトブックにする)ことは慣れない多くの人にとって使いやすい、プロのデザイナーと一緒に作れるサービスです。

まとめ:デザイン体験としての海外シミュレーター

海外サービスのデザインシミュレーターは、“デザイン体験の一部”として設計されていることが多そうです。また、それぞれのサービスユーザーにとってより使いやすい形が模索されていて、それがどこに力を入れて開発しているかにも関係していて非常に面白いですね。

続けて国内編も読むにはこちらから

一緒により良いシミュレーターをつくりませんか?

〈Printio〉では現在、誰でも迷わず操作できるUIや、細部の仕上がりまでイメージできる表示方法、工場と直接連携した印刷データの作成など、より素敵なデザインシミュレーターを目指して、開発中です。そして、一緒に快適なデザインシミュレーターを作りたい!というエンジニアを積極採用中

もしご興味がある方がいれば、ぜひ面白いシミュレーターの話や、よりよいシミュレーターの話をするようなオンラインでのカジュアル面談から始めてみませんか。どなたでもお気軽にご連絡くださいませ。

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