- 2025.12.19
- レポート
世界と日本のデザインシミュレーター事情【国内編】 -具体的な9サービスの便利な特徴をレポート

組み込み型のものづくりサービス〈Printio〉は、ただいまWeb版のPrintioを絶賛開発中。すでにβ版としてお使いいただけるほか、カート連携も続々と予定しています。本ブログでは、自社のデザインシミュレーター開発時にリサーチした「他のPOD(=プリントオンデマンド)サービス」や「メーカー」のシミュレーターの面白さと奥深さを公開するものです。それぞれのサービスの特徴と共にデザインシミュレーターのオススメポイントを、国内外の9サービスをそれぞれレポートします。
少し長くなってしまったので、こちらでは【国内編】として、アクリルアイテムやPODアイテム、刺繍やスマホ最適なシミュレーターなどをご紹介します。
目次
デザインシミュレーターって何ですか?
デザインシミュレーターとは、Webサイトやアプリ上で、Tシャツやスマホケース、ポスターなどのオリジナル商品を作るときに、実際にどのような見た目になるかをその場で確認・編集できる仕組みのことです。文字を入れたり、画像を配置したり、色を変えたりすることで、自分のアイデアをそのまま形にできます。
昔は、Adobe Illustrator(アドビイラストレーター)・Adobe Photoshop(アドビフォトショップ)などの専用ツールが必須でしたが、最近はAdobe Express(アドビエクスプレス)やCanva(キャンバ)などの「デザインツール」自体のサービスも増えてきています。ですが、デジタル入稿(Webから頼める印刷会社)やPODサービスでは、昔からずっと独自のデザインシミュレーターを開発しており、その便利さと印刷の正確性を並行して、競うように日々アップデートしているのです。
国内シミュレーターが重視する「再現性」と「正確さ」
「pixivFACTORY」のシミュレーターでは、アクリルアイテムは細部までこだわれます
イラスト・マンガ・小説の投稿や閲覧が楽しめる国内最大級の作品コミュニケーションサービスpixiv(ピクシブ)の運営するものづくりサービス「pixivFACTORY」は細部までこだわれるシミュレーターが魅力です。

特にアクリルキーホルダーでは、チェーンを通す穴の位置を細かく指定することが可能です。アクリルキーホルダーは、コミケやデザフェスでも大人気のアイテム。チェーン位置によって印象が変わるアイテムでもあるからこそ、細やかな調整ができるようにシミュレーターも仕上がっていて、作りたいものがちゃんと作れるぞという印象を与えてくれます。
オリジナルグッズを販売できるSUZURIによる、一度にたくさん作れるシミュレーター
日本のクリエイター登録数No.1をうたうSUZURIは、1つの画像をアップロードするだけで瞬時にさまざまなアイテムをつくれるのが特徴です。クリエイターにとことん寄り添う姿がかっこよく、クリエイターにとって使いやすいように隅々まで設計されています。

上部の工場のアイコンがアップロードしたもの。下部にTシャツやパネル、カレンダー、ポーチ…など画面に映っていないアイテム含め60種類以上のアイテムに自動でデザインが生成されます。クリエイションに集中したいクリエイターにとって、まずは自動で配置してくれることが商品時の出来上がりをよりイメージしやすくしてくれていますね。
「ブラザー」による刺繍データ自動変換クラウドサービス〈BEaaS Image〉を活用した唯一無二な「刺繍シミュレーター」
SUZURIのシミュレーターにはもう1つユニークなものが潜んでいます。刺繍変換です。

〈BEaaS Image(ベアーズイメージ)〉とは、ブラザーの業務用刺繍ミシン専用のクラウドサービス。テキストや画像データをブラザーのクラウド上で刺繍データへ自動変換し出力することができるものです。
ユーザーとしては、プレビューボタンを押しているだけですが、シミュレーター側では「画像から刺繍対応している色を抽出し、色の割り当てをする」「糸の動き(=刺繡にする)を考えてプレビューに起こす」「刺繍ミシンに対応するデータにする」「刺繡っぽい見た目のサムネイルを生成する」……などなど、細やかな処理がたくさんされていることが想像できる大変ユニークなシミュレーターです。
アクリーによるスマホネイティブに向けた、子どもやペットなど推しを飾りやすいシミュレーター
”アクリルプレート1枚から広がる世界”をかかげるACRY(アクリー)には、スマートフォンに特化した「スマホ型シミュレーター」が登場します。PCからは操作できず、アプリのみのこちらのシミュレーターは、直感的な操作が行えることが特徴。印刷位置やパーツ指定など、細部の再現性に優れ、初心者にも使いやすいUI設計が施されています。

画像の事前加工も不要で、写真の中から子どもやペットなど魅せたいであろう部分を自動で検出してくれるので、デザインソフトに不慣れでも使いやすい設計になっています。さらに、テンプレートも充実しており、テンプレートに沿って写真をいくつか選択していくだけで、カラフルなオリジナルのアクリルスタンドを作れるなどの「テンプレ機能」も搭載。
ラクスルの名刺シミュレーターは表裏の確認が分かりやすい
印刷通販サイトであるラクスルは、デザイン用ではなく「入稿用」のシミュレーターが充実しています。ラクスルの特徴でもある紙製品の充実に合わせ、紙特有の課題「表裏」や「天地(印刷面の上下)」の確認がしやすく、ネット入稿で起こりがちなミスを防ぐ設計になっています。

デザインを3Dでくるくる回しながら確認できるのはもちろん、表裏と天地のズレを一目でチェックできる優れた構成です。さらに、「横向きで回転させたときの見え方(左側)」と「縦向きで回転させたときの見え方(右側)」という2つの視点が用意されており、角度を変えながら仕上がりを立体的にイメージできる点も安心材料になるでしょう。
印刷物だけではない!家具の配置で住環境を充実させるLIXILによるシミュレーター
建築材料・住宅設備機器(キッチンカウンターなど)を扱うLIXIL(リクシル)によるシミュレーターは今までご紹介してきたような、自分のデザインデータをアップロードしてものづくりを行うものとは一味違います。

すでに登録された商品の3Dデータを活用し、購入時のイメージ補助として機能するシミュレーターです。住宅の内装を3D空間上で自由にコーディネートでき、パノラマ表示による没入感のあるシミュレーション体験が可能になっています。たとえば「壁の色を変えると部屋の印象がどう変わるか」「家具の高さを変えたら動線や使い勝手がどう変わるか」といった、頭の中だけでは想像しきれないポイントを可視化して補ってくれるツールです。
まとめ:実用性重視の国内シミュレーター
国内のシミュレーターを見ていくと、「完成品の再現性」や「入稿ミスの防止」といった実用性の高さに重点が置かれていることがよくわかります。ARなどの技術進化も背景に、デザインを伴わない「購入体験」でも、シミュレーターを通してイメージ確認をすることがより一般的になりつつあります。
たとえばLIXILのようなイメージ確認用シミュレーターであれば、見た目を整えるだけで一定の役割を果たせますが、オンデマンド印刷などものづくりに直結するシミュレーターの場合、さらにもうひとつ重要な役割を担っています。それは「ユーザーにとって使いやすいUI」であると同時に、「製造に適した正確なデータを生成すること」。表に見えない部分での設計や調整の難しさが、シミュレーターの品質を左右します。
一方、海外の事例では、シミュレーターが「確認ツール」という枠を超え、「デザインを楽しむ体験」を支えるインターフェースとして設計されていることが多く見られます。直感的な操作性や細かなカスタマイズが可能で、表現の自由度が大きく広がる構造です。そしてその表現の自由度を、しっかりと製造データに落とし込むためには、国内外を問わず、今なお技術的なブレイクスルーが求められています。
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